Rooh&NeneFarmのマコモタケ
  今までとこれからの目標


7年前からマコモタケの栽培を始めました。知り合いの農家さんに千葉早生と青殻という品種をいただいたのがきっかけでした。自家消費を目的に栽培をしていましたが、あまりのおいしさと料理の使い勝手の良さに感動して、次の年から栽培を拡大しました。今では地域のJAの直売所で販売し、また中央卸売市場に出荷するようにもなりました。
最近ではTVでも特集されて少し知られるになってきましたが、まだまだマコモタケはマイナーな作物です。
40~50年程前から栽培されてきたマコモタケですが、品種の違いやルーツの違いはほとんど知られていません。品種の違いにより味も見た目も様々です。認知度が上がるにつれ、品種にも注目されると考えています。
今年はご縁をいただき、新しい2種類の品種を譲っていただきました。今では6品種のマコモタケを育てています。
私たちはこの品種系統を次世代に引き継ぐために栽培と品種の保存を大切にしていきたいと考えています。

マコモタケは美味しい

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2023年は販売終了しました。次回は2024年10月より販売を開始します。
下記ボタンよりBASEのサイトでご購入ください。

マコモタケの品種の話

マコモタケには登録された品種は存在しません。栽培特性や容姿によってある程度の系統に区別することができます。(以下、便宜上で「品種」を使います。)
品種系統を大別すると、日本在来種と中国、台湾系種に分けられます。
マコモタケは、日本で野菜として栽培されるようになったのは40~50年ほど前からで、比較的新しい作物です。 
古来、日本では真菰を野菜ではなく穀物(黒穂菌が寄生していない真菰は稲と同じように穂に実がなる)として食していたようで、黒穂菌に感染した真菰を除外、選別していました。逆に中国では野菜として食すために黒穂菌の寄生していない株を除外、選別していたことがわかっています。 

1983年頃に東京農大の中村重正さんによって在来の真菰と食用の真菰とを区別するために「マコモタケ」と名付けられました。それ以降、マコモタケという呼び名が定着したようです。 

  1986年にジザニア研究会によって、日本国内で栽培されているマコモタケの品種系統が調べられて、各大学の研究機関によって品種は栽培保存されていました。  

現在では三重農業研究所に10種ほどの品種系統が残されているだけのようです。静岡県、千葉県の農試にはマコモタケは残っていませんでした。
現在、各地で生産者によって栽培されているマコモタケは品種系統に分けることは難かしく、またマコモタケの品種系統に言及されている生産者は少なくなってきています。
ジザニア研究会の方たちによって系統の分類をつくられたのには、大変な努力があったと想像できます。私たちはそれを絶やすことなく次の世代に引き継いでいけるように栽培をしていきたいと考えています。
現在、私たちが管理しているマコモタケの通常の品種は3品種です。千葉早生 青殻 白皮 です。それから青殻変異種と赤殻変異種、あと市販の苗が1品種です。
私たちが栽培している現在の品種系統の内、千葉早生と青殻については、分けて頂いたときに教えて頂いた系統名なので確定ではありません。これから時間をかけて他の物と比べながら同定できるようにしたいと考えています。白皮と赤変の変異種については三重農業研究所から譲っていただいた品種なので確定しています。

現在、日本国内で栽培されているであろう品種について、それぞれの見た目や味の違いを紹介していきます。

*三重農業研究センター作物部 資料抜粋。 以下、説明文は農文協 新特産シリーズ マコモタケ  
 西嶋政和著 から抜粋

マコモタケの品種 系統

マコモタケ石川早生

石川早生
[説明(抜粋)]
石川県津幡町が中国から導入した早生品種。石川県や富山県など北陸地方を中心に栽培されている。草姿は大型、広がり気味、葉色は淡緑色、真っ白な大きいマコモタケが採れる。
[考察]
現在、栽培はしていません。

マコモタケ一点紅

一点紅
[説明(抜粋)]
青森県板柳町が中国北京昌平区から導入した早生品種。東北地方を中心に栽培されている。草姿は中型、広がり気味、大きなマコモタケが採れる。マコモタケの下方に赤い斑点がある。
[考察]
現在、栽培はしていません。

マコモタケ千葉早生

千葉早生
[説明(抜粋)]
千葉農業試験場で青殻より選抜された早生品種。
台湾青殻種の系統で、関東地方を中心に栽培されている。
草姿は中型、立型、葉色は緑色。マコモタケの下方に葉鞘の緑色が残る。
[考察]
マコモタケは白く、独特の香りがあります。一節目までが長く成長し、穂先が出てしまうと先が暴れて形がわるくなります。小さいときは素焼きも美味しいですが、油との相性が良いので、炒め物に向いています。穂先が出るくらいの大きさならおでんやすき焼きに合います。

マコモタケ青殻

青殻
[説明(抜粋)]
静岡農試が台湾より導入した中生品種。草姿は小型、立型、葉の幅は比較的細い、葉色は緑色。マコモタケは小型。
[考察]
マコモタケは少し緑がかっている。一節目までが短く下方がずんぐりしている。葉に包まれている状態での収穫が良いと思われます。葉をつけたままで素焼きにすると葉の香りが移りとても美味しいです。加熱調理をすると、とても甘くなります。
葉がついたまま網の上でも焼けるのでバーべキューの一品としてとても喜ばれました。

赤殻
[説明(抜粋)]
静岡農試が台湾より導入した中生品種。小型で立型、葉の幅は細く、葉鞘がわずかに赤みを帯びる。マコモタケは大型で品質は優良。 
[考察]
現在、栽培はしていません。

マコモタケ白皮

白皮
[説明(抜粋)]
静岡農試が台湾より導入した晩生品種。葉幅は比較的広く、葉鞘の色は淡緑色、マコモタケは大型で純白。品質は優良。
[考察]
2024年より栽培開始

マコモタケ赤変

赤変
(三重農研命名)
[説明]
静岡農試が台湾より導入した赤殻種を三重農研が栽培してできた変異種。草姿の特徴は赤殻に準じます。
[考察]
2024年より栽培開始

マコモタケ宝山

宝山
(roohnene命名)
[説明]
40年前に静岡農試が台湾の宝山試験場から導入。静岡農試がマコモタケの普及ため、地域の農家に分けていたものを譲っていただきました。
 中早生品種。 

[考察]
青殻品種ですが私の所にある青殻とは少し形も味も違うので宝山と名付けました。今後、品種の同定をしていきます。
甘みは青殻よりも強く、小さめの物を素焼きにするとサツマイモに匹敵する甘さです。葉がついたまま網の上でも焼けるのでバーべキューの一品としてとても喜ばれました。

名前
[説明]
近くの種苗店で購入した品種の苗です。
[考察]
今後、品種の同定をしていきます。


マコモタケの収穫の適期

マコモタケはどんな料理法でも美味しく食べれます。大きくなりすぎても料理法によって、美味しく食べることはできます。ですから、生産者は大きく育てようとします。しかしながらマコモタケの本来の美味しさが最大限になる時期があると私たちは考えています。その時期を外さないようにするために、私たちは小さくても適期で収穫することを重視しています。

*下記、適期の説明には私たちの経験則と前述の新特産シリーズ マコモタケからの文章を使わせていただいています。

マコモタケ収穫適期

適期 (画像は青殻)

マコモタケの可食部が葉に包まれている状態で、少し白い過食部分が顔を出だした頃から、穂先が少し出るまでの間が適期(右画像も参照)可食部が紫外線にあたっていないので白色で実も柔らかく、みずみずしく、サラダなどの生食でもたべることができます。
黒穂菌も見当たらない状態が一番良いと思っています。


マコモタケ収穫適期

適期(画像は宝山)

この画像から、もう一日経つと穂先が顔をだします。少し穂先が出るくらいまでが適期です。このサイズでしたら、斜め輪切りにして、天ぷらや炒め物によく合います。もう少し大きくなったものは出汁が染みやすくなるので、おでんやすき焼きにとても合います。


マコモタケ大きくなりすぎ

不適期 (画像は千葉早生)

完全に葉が開いてしまって穂先が出てしまっている状態の物。可食部分が紫外線にあたり緑色に変色してしまっています。最終的には割れが入り黒穂菌で真っ黒になります。繊維質が多く、緑色の部分はピーラーで剥いてから食べる必要があります。実は素が入り始め、ひどいものはぼそぼそになります。マコモタケ特有のシャキシャキ感がなくなります。また可食部に黒穂菌の黒い斑点が出てきて品質が低下します。


マコモタケ暴れすぎ

  不適期 (画像は千葉早生)

旬が過ぎると可食部が肥大することができずに、すぐに穂先が出てきて暴れた形になります。食感は繊維質で固くなります。自家消費ではきんぴらなどにして食べることもあります。

どちらも問題なく食べることはできますが、マコモタケのみずみずしさ、甘さやシャキシャキ感もなくなり、美味しさは半減します。

マコモタケの調理方法

可食部は白い部分です。私たちは鮮度を保つ為に外葉がついている状態で販売をしています。
マコモタケはタケノコやアスパラに似た食感と歯ごたえがあります。えぐみや苦みもなく、ほんのりとした甘みが特徴です。 アク抜き等の下処理は不要です。焼き物、油炒めやお味噌汁など様々なお料理にお試しください。

  • 芽の先が少し出ているくらいに大きく育ったもの

 食感もしっかりしています。味がしみこみやすいので、すき焼きやおでんの具材に適しています。しっかり加熱していただいても大丈夫です。きんぴらにも向いています。
豚肉や牛肉と合わせて中華風に、またベーコンや卵とあわせるなど、お弁当のおかずとしても最適です。

  • 若くて小さいもの

マコモタケ、その物の柔らかさ、やさしい甘みが魅力です。ホイル焼きやオイル炒め、てんぷらなどシンプルな調理法がおすすめです。お塩やお醤油、ポン酢などで食べてください。

  • 外葉をつけたままの調理(芽が出ていない小ぶりなものがおすすめ)

真菰の葉の香りも一緒に楽しんで頂けます。軽く水洗いした後、グリルなどで外葉がやや焦げるくらいまで焼きます。バナナの皮を剥くように外葉を外してお塩等でシンプルに食べてください。
バーべキューの一品としても最適です。

  • 外葉を外して調理(どのサイズでもOK)

葉をはずしたら水洗いし、輪切り(6,7ミリ程度)にしてください。緑の部分は少し硬いので気になるようでしたらピーラーで白い部分が出るまで削いでください。

加熱調理をおすすめしています。(甘みも風味も増します)
冷蔵庫で1週間程度は保存できますが、日が経つにつれ美味しくなくなるのでお早めに食べるようにしてください。冷凍には向いていません。
マコモタケの中に黒い点々が見つかることがありますが、食べても大丈夫です。これは黒穂菌でマコモ墨とも呼ばれ昔からお歯黒などにも利用されてきました。

マコモタケは調理方法にかかわらず美味しくなります。家庭での追加の一品、冷めても美味しく、お弁当のおかずにも最適な食材です。



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マコモタケの話

参考文献
三重県農業研究センター資料 
新特産シリーズ マコモタケ 西嶋政和著 

真菰とマコモタケ

起源

真菰はイネ科ジザニア属の植物で日本を始めとして中国大陸、台湾等、東南アジアにも広く分布しています。草丈は2mほどに育ちます。日本各地に古くから自生しており、しめ飾りや神事に利用されてきました。日本の在来種である真菰は黒穂菌の寄生された株を除外選別し、米と同様に穂にできた実を食していました。稲作ができる前から食べられていたようです。(マコモタケとは別品種です。葉身が細く株元が紫がかっているのが特徴です。)
古来より神事にも利用されてきました。有名なところでは出雲大社の奥社のしめ縄、また5月には真菰を使った神事が残っています。

神出町のマコモタケ

マコモタケ

マコモタケという呼び名は1980年代、食用の真菰が広がってきた時代に在来種の真菰と食用の真菰を区別するために付けられました。食用のマコモタケは沖縄県では中国や台湾と交易があったために、かなり以前から導入されていました。日本国内で注目されるようになったのは1980年代になってからです。
1986年にジザニア研究会によって日本で栽培されているマコモタケの系統が調べられました。いくつかの系統が在りますが今でも保存されているのは10数種です。

神出町のマコモタケ

食用

真菰の株に黒穂菌と呼ばれる菌が寄生していて、黒穂菌の影響により穂芽が奇形になり株の根元が肥大してきます。その部分を食用として利用しています。
真菰はマコモタケだけではなく、葉や根、マコモの新芽も漢方の生薬として、様々な効能があるらしいです。またマコモの葉にも様々な機能性があります。

利用

栽培種のマコモは求肥力が強くチッソ成分をたくさん吸収します。この性質を利用して富栄養価した河川や湖の浄化にマコモが利用されています。
マコモの葉の機能性に着目して、マコモ茶で抗酸化活性を高めたり、お風呂に入れると爽快感が高まります。
また葉鞘が長いので、円座やむしろが編まれる等、古来より生活にも密着していました。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
ホームページの文章は私達の主観に基づいて書かれている部分もありますので、問題があるようでしたら、ご連絡いただけますと幸いです。訂正させていただきますので、よろしくお願いします。